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足利市立美術館

栃木県の足利市立美術館から、展覧会やイベントの情報などをお知らせします。

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吉増剛造展が終了しました

 12月24日をもって、2ヶ月にわたって行われた吉増剛造展が終了しました。24日の閉館直後から作品の撤収作業が行われ、さらに25日一日かけて作業が終了。展示室は空の状態に戻りました。
 吉増剛造展は,4/27-6/24に、沖縄・那覇の沖縄県立博物館・美術館にて、8/11-9/24に、東京・渋谷の渋谷区立松濤美術館にて巡回展が行われます。現在は沖縄県立博物館・美術館での開催準備がすすんでいます。ご旅行をかねての観覧を、ぜひご計画ください。
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  1. 2017/12/25(月) 11:01:32|
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クロージング・トーク「札幌の古・水・道(フシコ・ワッカ・ル)」が開催されました

12月24日(日)、吉増剛造展いよいよ最終日となり、札幌でギャラリー、テンポラリースペースを主宰されている中森敏夫さんを招いての、吉増さんとのクロージング・トーク「札幌の古・水・道(フシコ・ワッカ・ル)」が開催されました。中森さんによるテンポラリースペースでは、1980年代より現在まで、吉増剛造展がたび重ねて行われ、その活動の中では、1990年代の代表作「石狩シーツ」が札幌で生まれるなど、中森さんは吉増さんの制作に大きな役割を果たしてきました。
 まずは、今年の8月から10月にかけて行われた「札幌国際芸術祭2017」での吉増剛造展を、展示に携わった映像作家の鈴木余位さんが10分ほどにまとめた映像の映写と、上映中の吉増さんの語りからトークは始まり、上映後には中森さんが加わりトークが進んでいきます。中森さんからは、吉増剛造展の感想として、出品作品である高村光太郎の《手》をもとに、日本の近代における問題や、その中での芸術の在り方へなどの言及
が行われ、「石狩シーツ」、「火ノ刺繍」などについての話を経て、途中には、前日に続き、目隠しをした吉増さんが原稿にインクでドリッピンをするパフォーマンスも行われました。最後は、会場からの声や質疑応答が熱く行われ、2時間近くにわたるトークが締めくくられました。

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まずは「札幌国際芸術祭2017」での吉増剛造展の記録映像から


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吉増さんと中森さん(左側)との熱いトークが続く


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23日に続きドリッピングのパフォーマンスが行われる


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今日も80名近い聴衆が見守る


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質疑応答も23日以上に熱い

  1. 2017/12/24(日) 20:56:19|
  2. 展覧会
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対談「渦巻く世界の彼方へ」が行われました

12月23日(土)、多摩美術大学芸術人類学研究所所長で同校教授の鶴岡真弓さんをゲストに迎えて、吉増剛造さんとの対談「渦巻く世界の彼方へ」が、100名を超える聴衆を集めて開催されました。
 鶴岡さんは、アイルランド・ケルト文化研究の第一人者であると共に、沖縄、東北などでのフィールドワークも行われてきました。アイルランドをはじめとするこれらの地は、吉増さんが旅をし、詩作や作品の制作を行ってきた場所でもあり、こうした共通点をもとにして催された対談でもありました。
 対談は、まず最初に、吉増さんがアイルランドのスライゴーなどで2009年に制作した12分ほどの映像作品(gozoCiné)「イエイツ・ビジョン」の映写から始まりました。アイルランドを代表する詩人で、吉増さんの詩や随筆に度々登場してきたウィリアム・バトラー・イェイツですが、上映中の吉増さんの語りからトークは始まり、映像が終わって会場が明るくなった後には、鶴岡さんも対話に加わり、徐々に、「ケルズの書」をはじめとするケルト世界の核心へと、話は進んでいきます。
 途中には、目隠しをした吉増さんが開催されたばかりのヨーロッパでのパフォーマンスで生まれた新作に、さらにドリッピングを加えてのパフォーマンスも行われ、さらに吉増さんによる現在の活動の中心にある「火ノ刺繍」へも話がおよび、あっという間の90分が過ぎていきました。
 最後には、会場からの声や質疑応答が熱く行われ、2時間以上にわたるトークが締めくくられました。

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まずはgozoCiné「イエイツ・ビジョン」の映写から


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鶴岡真弓さんとの迫真のトークが続く


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ヨーロッパでのパフォーマンスで生まれた新作に、さらにドリッピングを加えてのパフォーマンス


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100名を超える聴衆が参加


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さらに迫真のトークが続く


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質疑応答でも熱いトークが行われた


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最後まで、次々と湧き上がるように対話が続く



  1. 2017/12/23(土) 20:46:35|
  2. 展覧会
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「火ノ刺繍」裏返しの各作品をご紹介します

「火ノ刺繍」裏返しの各作品を、図録に未掲載のものも含め、あらためてご紹介します。

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  1. 2017/12/23(土) 09:12:34|
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「火ノ刺繍」の各作品を裏返して展示しております

 吉増剛造展の閉幕まであとわずかとなりましたが、実は先週より、全作品、表、裏で作品が異なる吉増剛造さんの「火ノ刺繍」の各作品を、裏返して展示しております。

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以上の作品、それぞれ裏返しにして展示しています。


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表面にタカラガイが付いたこちらの作品は、左から2番目のものが新たに差し替わっています。

  1. 2017/12/21(木) 09:05:06|
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吉増剛造・詩作の地を巡る旅(7)

「吉増剛造・詩作の地を巡る旅」の最終回は、吉増さんの南島での詩作にとって重要な土地・漲水御嶽、大神島がある宮古です。

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沖縄県・宮古(漲水御嶽)/「(春の漲水御嶽(ハリみずうたき)は」(『「雪の島」あるいは「エミリーの幽霊」』)


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沖縄県・宮古(ウリカガー)/「Out-of-the way」(『The Other Voice』)


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沖縄県・宮古(大神島)/「歌(あやご)」(『The Other Voice』)




  1. 2017/12/20(水) 07:27:13|
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吉増剛造・詩作の地を巡る旅(6)

再び「吉増剛造・詩作の地を巡る旅」は続きます。第6回は、まず、島尾敏雄さん・島尾ミホの島である奄美です。

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鹿児島県・奄美(加計呂麻島)/『ごろごろ』


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鹿児島県・奄美/「河の声から川倉へ」(『螺旋歌』)

さらに沖縄へ。

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沖縄県・首里(金城町)/「夏のほこりが周囲一面(しずかに)舞い立っていた」(『螺旋歌』)


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沖縄県・那覇(国道58 号線)/『ごろごろ』


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沖縄県・嘉手納/「嘉手納」(『The Other Voice』)


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沖縄県・コザ/『ごろごろ』



  1. 2017/12/19(火) 00:03:51|
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対話型観賞の会「作品の声を聴こう」が行われました

 12月17日(日)、対話型観賞の会「作品の声を聴こう」が開催されました。対話型鑑賞とは、一点の作品を、美術の知識にたよらず自由に観て、その感想をみんなで話し合いながら作品の理解を深める鑑賞方です。展示室で出品作品をもとに、ファシリテーター(司会役)が参加者に質問しながら対話を進めていきます。
 この日参加したのは4名の方たちでした。まず最初は展示室2にて、吉増剛造さんによる大伸ばしの多重露光写真の一点。

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この一点を20分ほどかけて鑑賞しました。さらに展示室3に移動し、吉増剛造さんの最新作品「火ノ刺繍」へ。この作品も20分ほどをかけて鑑賞。


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最後に、展示室2に戻り、「怪物君」の原稿に挑戦。

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3点を1時間ちょっとけけての、トークをしながらの鑑賞が行われました。





  1. 2017/12/18(月) 23:24:15|
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吉増剛造・詩作の地を巡る旅(5)

「吉増剛造・詩作の地を巡る旅」の第5回。関西への旅は続き、和歌山へ。

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和歌山県・新宮(浮島)/ gozoCiné「熊野、梛の葉、.....」


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和歌山県・田辺(神島)/ gozoCiné「熊野、梛の葉、.....」



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和歌山県・那智(那智の滝)/中上健次関連

さらに高地へ。

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高知県・竹林寺/「月は繊維でできている」(『The Other Voice』)


  1. 2017/12/17(日) 23:13:07|
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吉増剛造・詩作の地を巡る旅(4)

「吉増剛造・詩作の地を巡る旅」の第4回。まずは、与謝蕪村、折口信夫と深い関わりのある大阪へ。

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大阪府・毛馬/与謝蕪村生地


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大阪府・新世界/『生涯は夢の中径』(折口信夫関連)

さらに、「オシリス、石ノ神:」の舞台である奈良・二上山へ。

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奈良県・二上山/「オシリス、石ノ神」(『オシリス、石ノ神』)




  1. 2017/12/16(土) 23:07:21|
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吉増剛造・詩作の地を巡る旅(3)

「吉増剛造・詩作の地を巡る旅」の第3回は、まず東京から。

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東京都・下北沢/「黄金詩篇」(『黄金詩篇』)


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東京都・羽村(まいまいず井戸)/「ユキ?ユキ」(『オシリス、石ノ神』)


 そして、詩集『螺旋歌:』に登場する能登へ。

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石川県・七尾(『螺旋歌』)


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石川県・羽咋(『螺旋歌』)


  1. 2017/12/15(金) 23:04:07|
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吉増剛造・詩作の地を巡る旅(2)

 「吉増剛造・詩作の地を巡る旅」の第2回は、北海道と同じく、吉増さんの詩に度々登場してきた都北です。

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青森県・恐山/「河の声から川倉へ」(『螺旋歌』)


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青森県・恐山/「揺籃」(『熱風』)


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岩手県・好摩/「好摩、好摩」(『オシリス、石ノ神』)


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山形県・山寺/ gozoCiné「山寺フィルム―― 奥の細道」


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福島県・浪江/『怪物君』



  1. 2017/12/14(木) 23:00:35|
  2. 展覧会
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吉増剛造・詩作の地を巡る旅(1)

今回の展覧会では、美術館3階ロビーの一角に、担当学芸員が昨年9月から今年3月にかけて、吉増剛造さんの詩作と関わりの深い土地を撮影したカラー写真が、詩のタイトルなどを添えて掲示されています。

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 まずは、吉増さんの詩と1970年代以降深く関わってきた北海道の写真です。

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北海道・登別(富浦)/「小ファミリアは、蘭法の丘を、登っていった」(『螺旋歌』)


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北海道・余市(忍路環状列石)/「奮起せよ、アムンゼン」(『オシリス、石ノ神』)


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北海道・美馬牛/「奮起せよ、アムンゼン」(『オシリス、石ノ神』)


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北海道・夕張/「織姫」(『オシリス、石ノ神』)


  1. 2017/12/13(水) 22:48:17|
  2. 展覧会
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良寛について

 展示作品を紹介するシリーズの最終回は良寛です。良寛(1758-1831)は、江戸時代後期の曹洞宗の僧侶、歌人、書家です。生涯寺をもたず、托鉢生活を営み、和歌のほかに漢詩、狂歌、俳句にもすぐれ、書の達人としても知られます。吉増剛造さん、は若き日の岡田隆彦が良寛の書を敬愛していたと発言しており、当時からその書への感応があったことがうかがわれます。
 《今日乞食逢驟雨》は良寛の代表的な名詩であり、この漢詩をもとにした作品が多数遺されていますが、本作品には、規律ある中にも自由闊達とした力強さを持つ良寛独特の筆運びがみられます。また、仏典から引かれ良寛が好んだという詩をもとにした、晩年の作とみられる《あさづくひ》には、字形、強弱などあらゆる要素が絶妙に統制された、書の極致ともいえる表現がなされているといえるでしょう。

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良寛「今日乞食逢驟雨」(左)と「あさづくひ」(右)(良寛記念館蔵)

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今回の展示では吉増剛造「火ノ刺繍」の先に良寛の作品が見える配置をしています




  1. 2017/12/12(火) 07:14:08|
  2. 展覧会
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川端康成と浦上玉堂

 川端康成(1899-1972)は、大正から昭和にかけて活躍し、1968年には日本人初のノーベル文学賞を受賞した近現代日本文学を代表する作家です。吉増剛造さんは、川端康成についての講演をたびたび行っていますが、近年では川端が愛賞した江戸時代の文人画家・浦上玉堂との関わりの中で多く語られています。映像作品gozoCiné「浦上玉堂の魂の手ノ血が点々と―2014・7・27岡山、東京」で吉増さんが撮影した《凍雲篩雪図》は、浦上玉堂の最高傑作とも称され国宝に指定されるとともに、川端康成の愛蔵品としても知られた作品です。同映像作品において、吉増さんは川端の眼差しを手掛かりの一つとして、浦上玉堂の《凍雲篩雪図》を見つめています。

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左は川端康成「初空に鶴千羽舞ふ幻の」(龍泉寺美術館蔵)、右は浦上玉堂「山林読書図」(福島県立博物館蔵)




  1. 2017/12/11(月) 08:22:40|
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3回目のギャラリートークが行われました

 11月9日(土)、担当学芸員による、吉増剛造展では3回目、最後のギャラリートークが行われました。参加者は8名ほど。やはり予定の時間をオーバーしてしまい。80分にわたたるトークを最後まで熱心に聴いていただきました。

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『オシリス、石ノ神』を観覧中の参加者の方々



  1. 2017/12/10(日) 21:12:54|
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足利工業高校産業デザイン科の観覧会が行われました

12月9日(土)、地元の足利工業高校産業デザイン科の生徒さん24名と先生3名が来館し、展覧会の観覧を中心にしたワークショップが、「足利工業高校産業デザイン科と歩く「吉増剛造展」アートウォーク」と題して行われました。
 これを企画・構成したのは、吉増剛造展の準備にも携わった足利市職員の山下彩華さんで、担当学芸員がサポートしての開催となりました。
 まずは担当学芸員が展示解説をしながら、20分ほどで各展示室を観覧。その後、交代をしながら、展示を自由に観るグループと学芸員と共に収蔵庫などのバックヤードをめぐるグループの2つに分かれ、1時間ほどをかけての鑑賞を行いました。さらに、近くの足利まちなか遊学館に移動。ここでは吉増剛造を観て考えたことや、展覧会企画の意図を想像してみること、この日の体験を自分の制作とつなげることをテーマにしたトークなどが、4つのグループに分かれて行われました。

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美術館(展示室3)での観覧の様子


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足利まちなか遊学館でのグループトーク(中央がイベント企画者の山下さん)

  1. 2017/12/09(土) 13:53:10|
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与謝蕪村について

 松尾芭蕉の死後、俳諧文化が衰退するなかで、江戸期中期の俳人・与謝蕪村(1716-1784)らは、「芭蕉にかえれ」のスローガンのもと「、蕉風復興運動」によって芭蕉の再評価を行いました。芭蕉の軌跡を追い求める吉増剛造さんにとって、蕪村は芭蕉の精神を後継する者としての先人であり、吉増は大学時代に一時、東京を離れ大阪に住んだことがあり、淀川沿いに生まれた蕪村の句に宿る大阪の下町の生々しい気配を身近に感じながら創作した作品も数多く制作しています。

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与謝蕪村「おもだかの」発句自画賛(山寺芭蕉記念館蔵)




  1. 2017/12/08(金) 08:12:07|
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松尾芭蕉について

 吉増剛造さんにとって、松尾芭蕉(1644-1694)への関心はとても古く、1963年、慶應義塾大学文学部国文学科の卒業論文の対象にを選んでいます。2006年から発表されたgozoCinéでは、芭蕉の足跡を実際に辿り撮影した「千々に砕て―松島篇」「最上川、象潟―奥の細道」「山寺フィルム―奥の細道」「尾花澤フィルム―奥の細道」「芭蕉さん終焉―大阪」といった数々の映像作品を発表しています。自身初の散文集『朝の手紙』に収められた「幻の道・幻の芭蕉」の中で吉増は「芭蕉足跡の地図をみていると芭蕉らは一個所に長くとどまることなく、ほとんど駆けぬけるかのように旅している。何がそうさせているのか。旅の涯にさらに旅が待っているのか。あるいは「おくのほそ道」執筆のために急ぐか」と記しており、書くことと旅を生き、紀行文と俳句、散文と詩から成立する『おくのほそ道』は吉増さんの表現の大きな源流になっているといえるでしょう。

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松尾芭蕉「世にふるも」句文懐紙と「ちりうせぬ」句文懐紙(山寺芭蕉記念館蔵)

  1. 2017/12/07(木) 08:03:42|
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芥川龍之介について

 吉増剛造さんは、大正期に活躍した小説家・芥川龍之介(1892-1927)を、「澄江(隅田川)の詩人」と称し、東京という土地に流れる川や水の存在を告げるものとしてとらえ、芥川の最晩年の代表作「河童」(1927年)にたびたび言及しています。さらに、「東京の詩人は芥川龍之介しかいない」(『静かなアメリカ』)というエッセイも書いており、2008年には、芥川龍之介と水辺、川との深いつながりをもとに、映像作品である二本のgozoCiné『芥川龍之介フィルムⅠ-Kappa』、『芥川龍之介フィルムⅡ-Kappa,Appendix』を制作し発表しました。

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芥川龍之介「水虎晩帰図」と吉増剛造「裸のメモ(芥川龍之介フィルム kappa)」原稿

  1. 2017/12/06(水) 07:59:32|
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「小梅日記」について

 川合小梅は(1805-1889)、幕末の和歌山に生まれ、紀州藩士の妻として、幕末から維新を経て明治に入り、日本が近代化していく激動の時代の中で生涯を送りました。小梅が毎日の天候や食事の内容など日々の出来事を書いたものが『小梅日記』として遺され、今は東洋文庫(平凡社)で読むことができます。その膨大な日記は、1990 年代以降の吉増剛造さんが幾度か言及する「書き尽くす手」に通じているといえるでしょう。

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川合小梅「小梅日記」(和歌山県立図書館蔵)


  1. 2017/12/05(火) 07:56:48|
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石川啄木について

 吉増剛造さんは、石川啄木(1886-1912)が主に1909 年に書いた「ローマ字日記」に大きな影響を受け、語りがたさに接しながら詩歌を書く啄木の姿に共鳴しつつ、詩や随筆でたびたび取り上げてきました。今回の展覧会では「ローマ字日記」の出品はありませんが、啄木の没後に刊行された歌集『悲しき玩具』(1912年)の歌の表記には、三行書きだけでなく字下げや句読点、ダッシュ、感嘆符が使用されており、そこからは「ローマ字日記」と同様の、啄木の像が浮かんできます。

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石川啄木『一握の砂』以後(悲しき玩具』)原稿(日本近代文学館蔵)


  1. 2017/12/04(月) 08:45:27|
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萩原朔太郎について

 本日はいよいよ萩原朔太郎(1886-1942)です。萩原朔太郎は、1917 年(大正6 年)に詩集『月に吠える』を刊行し、口語自由詩による日本近代詩の新たな地平を切り開いきました。晩年は下北沢に近い代田に暮らし、そこで与謝蕪村、松尾芭蕉などの古典を論じ、文語定型詩を採用した詩集『氷島』を発表、日本回帰したとされます。下北沢周辺を舞台にした短篇小説『猫町』(1935 年)も書いた朔太郎について、同じくかつてこの地に住だ吉増さんは「氷島・下北沢」(『ユリイカ臨時増刷萩原朔太郎』青土社、1972 年4 月)というエッセイのなかで「いまも萩原朔太郎が下北沢の(中略)裏通りを黒いマントを着て歩いている幻覚が浮かんでくる。なぜ、下北沢などに朔太郎はやってきのだろう」と書いています。

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萩原朔太郎の詩稿、「郷愁の詩人 与謝蕪村」原稿、自筆楽譜、書簡、撮影写真の数々(前橋文学館蔵)



  1. 2017/12/03(日) 07:33:59|
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西脇順三郎と瀧口修造について

 「響かせる手」では、吉増剛造さんの創作にさまざな影響を与えた詩人の原稿などが合わせて展示されています。まず紹介するのは、吉増さんが学んだ慶應義塾大学文学部の先人である西脇順三郎と瀧口修造です。吉増さんは、今年1 月に慶應義塾大学で開催された西脇順三郎生誕記念祭「アンバルワリア祭」で「雑神と雑草」と題した講演を行い、「18 歳のときに西脇順三郎の詩を読んで脳髄が麻痺してしまうほどの衝撃を受け」たと語っています。

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西脇順三郎「漢語ギリシア語ノート話」と「主として Greek 語の話」(慶應義塾大学アート・センター蔵)

 同じく慶應義塾大学文学部の先人である瀧口修造についても、詩や評論などの著作の熟読に加えて、その生前は自宅を幾度も訪れています。今回の出品作品である「デカルコマニー」は、シュルレアリスムの手法を使った瀧口修造の代表的な造形作品ですが、無作為の極致ともいえるこうした表現は、「火ノ刺繍」の創作に深くつながっているように思われてなりません。

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瀧口修造「デカルコマニー」


  1. 2017/12/02(土) 08:45:23|
  2. 展覧会
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「火ノ刺繍」を紹介します

 本日紹介するのは、最新作「火ノ刺繍」です。「あらためて振り返ると、現代の詩人の中で、吉増さんほど、手で言葉を記すという行為を深めてきた者はいないでしょう。豊かな色彩と文字で記された原稿は、直筆原稿のイメージを越えて私たちを魅了します。さらに近年では、きわめて細やかな文字が記された上からさらにインクなどで彩られたものへと発展してきています。その代表的なものが、今年の夏に「札幌国際芸術際2017」に出品され、今回の展覧会のポスターのメイン画像にも使われている「火ノ刺繍」です。

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2017年の作品「火ノ刺繍」の中の一点(展覧会ポスターに使用)


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「火ノ刺繍」の展示(展示室3)

 この作品のおおもとには、吉増さんが2012年から現在まで続けている、詩人・批評家の吉本隆明さんが記した『日時計篇』などの詩の筆写があります。

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吉本隆明『日時計篇』原稿(日本近代文学館蔵)

 吉本隆明さんが没した2012年より一日一篇ずつ記されてきたこの筆写は、昨年東京国立近代美術館で開催された吉増剛造展でのメインの展示作品「怪物君」を生み、その筆写の濃密な時間は、詩文集『根源乃手/根源乃(亡露ノ)手』の出版(2016年、響文社刊)および、まもなく響文社から刊行される『火ノ刺繍』へとつながっています。

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「根源乃手/根源乃(亡露ノ)手」原稿




  1. 2017/12/01(金) 08:35:32|
  2. 展覧会
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