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足利市立美術館

栃木県の足利市立美術館から、展覧会やイベントの情報などをお知らせします。

「対話型鑑賞の会 作品の声を聴こう」が行われました

 4月25日(土)開催中の「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」の出品作品をもとにした、「対話型鑑賞の会 作品の声を聴こう」が行われました。
 対話型鑑賞とは、25年ほど前にアメリカで始まり、今や、日本も含めて世界中に広まった美術の鑑賞法です。通常の作品鑑賞とは異なり、作品の意味や技法、作者に関することなど、美術の知識をもとにして作品と向かい合うのではなく、まずは、何の知識も持たずに一つの作品と時間をかけて向かい合います。そして、作品を観た時の感想やそこから想像されたこと、発見したことなどをもとに、「ファシリテーター」と呼ばれる司会役を中心にして、グループの中でそれぞれの感想や自由な発想を話し、互いに聴き合うといった対話を通して鑑賞が深められていきます。
 参加したのは6名。その内半数は、対話型鑑賞を初めて体験する方たちです。実は足利市立美術館にとっても、一般の来館者向けに対話型鑑賞を行うのこの日が初めてのことでした。

 最初に鑑賞の対象に選ばれた作品は、今回「金のりんご賞」を受賞した日本人作家・はいじまのぶひこさんの「きこえる?」です。対話型鑑賞では、制作のテーマや背景、作品の技法だけではなく、作者名や作品名も原則として明かされません。6名の参加者は、まず10分間、5点一組で縦に作品が配置されて並ぶ透明アクリルの額に近づき、用意されたメモに感想や気がついたことなどを次々と書き込んでいきます。その後、担当の学芸員の司会によって対話が始まりました。まず、時間をかけて作品を観ることで気が付いた点をそれぞれ挙げてもらいました。その中では、縦並びの情報が天(宇宙)や空、下方が地面となっていること、正方形と横長長方形の画面の組み合わせでできていること、5点は時間や季節の経過が見て取れること、画面の中に大気の肌触りのようなものが感じられること、描かれた風景と向かい合う人の視線の高さや位置が感じ取れること、静かな画面から様々な音が感じられること、シルエットで描かれている鳥やウサギが問いかけようとしている内容など、さまざまな感想が、20分ほどの対話の中で語られました。最後には司会者より、実際に出版された絵本が紹介されると共に、作品の技法やテーマ、作者のプロフィールなどが明かされました。

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はいじまのぶひこさんの「きこえる?」をもとにした対話型鑑賞


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はいじまのぶひこさんの「きこえる?」の内の1点 ©はいじま のぶひこ


 2点目に鑑賞の対象になった作品は、同じく日本人作家の牡丹靖佳さんによる「おうさまのおひっこし」です。ここでは、5点組の展示作品の中から、川に橋を架けるようにして様々な荷物が浮かぶ様子が、淡い色彩で実に細かく描かれた作品1点のみによる鑑賞が行われました。15分の観察の後、対話の開始。画面に小さく離れて描かれた鹿の親子の関係のほか、親鹿のいる岸の対岸に並ぶ兵隊と王様との関係や王様の視線の行方、王様たちがいる岸と向こう岸との関係などについてまず指摘がありました。続いて話題は川に浮かぶ荷物へ。それぞれのスケール感が合わないことから、これはおもちゃの国を描写したものなのかしれないとういう意見が出されました。また、技法の部分では、ところどころで絵の輪郭線から色彩がはみ出していることの意味についての問いかけも行われました。20分ほどの対話の後、最初の作品と同様に、司会者より実際に出版された絵本が紹介され、さらに作品の技法やテーマ、作者のプロフィールなどが明かされ、約1時間半の「対話型鑑賞の会」が終了。参加者からは、長い時間をかけて、作品を自分の目で観て考えることがこれほど面白いとは思わなかったという感想も寄せられました。

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牡丹靖佳さんの「おうさまのおひっこし」をもとにした対話型鑑賞


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この日の鑑賞の対象になった牡丹靖佳さんの「おうさまのおひっこし」の内の1点 ©牡丹靖佳

 「対話型鑑賞の会 作品の声を聴こう」は、第2回目として、5月10日(日)に作品を変えて行われます。ぜひ参加をご検討ください。




  1. 2015/04/25(土) 20:14:14|
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