「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」をもとに世界の絵本をめぐる展示室の旅は、伝統的に緻密で繊細な作品がつくられてきた、旧東欧・スラブ民族の国々へ。
クロアチアのズデンコ・バシクによる『風の物語 妖精や森の生きものの神話と伝説』では、そうした細密な絵の伝統そのままに、きわめて繊細な描写による森の光景がCGも交えながら描かれ、その上から実際の糸で見開きページの真ん中が、実際の糸によって刺繍のように縫われているというユニークな方法で制作が行われています。

ズデンコ・バシク『風の物語 妖精や森の生きものの神話と伝説』© Zdenko Bašic
一方、チェコの人気作家であるルカーシュ・ウルバーネクによる『バボチキ』では、明るい色彩のコミック調の絵で全編が描かれ、新しい世代の力強さを存分に感じさせてくれます。

ルカーシュ・ウルバーネク『バボチキ』© Lukáš Urbánek
今日の最後は、デザインが高度に洗練されている感が強いポーランドの作家の中から、イヴォナ・フミェレフスカによる『女の子の王国』をご紹介します。生成りの白い色彩を基調にし、実際のガーゼのハンカチが画面に貼り付けられたこの作品では、若い女性の繊細な心の内面が、とてもデリケートに描き出されています。

イヴォナ・フミェレフスカ『女の子の王国』©Iwona Chmielewska
- 2015/05/18(月) 06:12:57|
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