足利市立美術館
栃木県の足利市立美術館から、展覧会やイベントの情報などをお知らせします。
対話による鑑賞会「よーく観よう。いっぱい話そう。」が行われました
5月24日(日)、いよいよ「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」の最終日です。展覧会最後のイベントとして、足利市内の子ども造形教室「アトリエmado」の主催で、お子さんと保護者の方を対象にして、対話による鑑賞会「よーく観よう。いっぱい話そう。」が、それぞれ20名を超えるお子さんと保護者が参加して開催されました。
ここで行うのは「対話型鑑賞」という、25年ほど前にアメリカで始まり、今や、日本も含めて世界中に広まった美術の鑑賞法です。通常の作品鑑賞とは異なり、作品の意味や技法、作者に関することなど、美術の知識をもとにして作品と向かい合うのではなく、まずは、何の知識も持たずに一つの作品と時間をかけて向かい合います。そして、作品を観た時の感想やそこから想像されたこと、発見したことなどをもとに、「ファシリテーター」と呼ばれる司会役を中心にして、グループの中でそれぞれの感想や自由な発想を話し、互いに聴き合うといった対話を通して鑑賞が深められていきます。
司会役であるファシリテーターを務めるのは、さまざまな芸術のワークショップや講座を実施している東京のNPO団体ARDA(芸術資源開発機構)が運営する「対話型鑑賞研修会」の中から、バックアップメンバーを含めて7名。まずは美術館の多目的ホールに集合。年齢ごとに5名ほどに分けた子ども4グループと、保護者の大人2グループにそれぞれファシリテーターが付いて「対話による鑑賞会」が始まりました。
この場所では、実際に「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」の展示室で鑑賞を行う準備として、今回の展覧会のグランプリ作品『大洪水』の中から2点を選び、作品の原寸である100cmに出力したものを各グループが使って、対話を伴う鑑賞を行いました。
コピーなので近寄ってじっくりと見られます
小さい子どもたちは画像を床に置いて鑑賞
実物では決してできない触ることもできます
大人グループの鑑賞の様子
ほとんどの方は対話による鑑賞を初めて体験されるこの鑑賞会。初めはことばを出すことが出来なかった子どもたち、大人たちも、ファシリテーターに導かれて、徐々に対話に加わることが出来るようになり、30分ほど行われたトレーニングの後半では、場が盛り上がる場面も各グループで見られるようになりました。
このあとは、多目的ホールを全員で出て展示室1へ。先ほどのトレーニングでじっくりと見た『大洸水』の実物をファシリテーターとともに鑑賞しました。みなそれぞれ、自分が話した感想、他の方から聴いた印象などを思い出すと共に、コピーと実物の違いを見比べられ、実感されたことだと思います。
実物の『大洸水』を鑑賞中
さらに展示室2に移り、いよいよ「対話による鑑賞」の本番が始まりました。まずは、ファシリテーターがあらかじめ選んだ作品の前に、グループごとに集合。ここでは、最初に分けたグループごとに、2つの作品と向かい合って、それぞれ20分ずつの鑑賞が行われました。画像で各グループの様子を見てみましょう。
トルコのフェリドゥン・オラルによる『赤いはねのフクロウ』を鑑賞中の小さいお子さんのグループ
フランスのベティ・ボーンによる『プルーストのマドレーヌ』を鑑賞中の大人のグループ
イランのハサン・アーメキャンによる『もしゃもしゃルーシー ちっちゃなケムシ』を鑑賞中の子どものグループ
こんな風に展示室にグループごとに散らばって同時に鑑賞が行われました
日本の荒井良二による『あさになったのでまどをあけますよ』を鑑賞中の子どものグループ
スペインのイライア・オキナによる『お月さまが目をさましたから』を鑑賞中の大人のグループ
最初は緊張があったのか、どことなくぎこちなかった対話も、時間が経つにつれて、グループ全体が落ち着きを持って、対話もスムーズで活発に行われるようになっていったように思います。
最後は多目的ホールに戻り、「対話型鑑賞」ではとても重要とされている、この日の鑑賞についての「振り返り」を行いました。多目的ホールには、展示室で実際に鑑賞を行った作品のA4カラーコピーを貼った大きな紙がグループごとに広がられています。鑑賞の間に考えたこと、話したことなどを、色鉛筆やクレヨン、マーカーなどでカードに書き、それを色とりどりのマスキング・テープで作品画像の周りに貼っていっていきいます。そして、鑑賞を通じてグループで共に過ごした時間をかたちとして残すかのように、作品ごとの鑑賞シートが、それぞれ一つの作品として出来上がっていきました。以下、その様子をじっくりとご覧ください。
さらに、それぞれの感想をご覧ください。
終了後に大人に書いていただいたアンケートでは、じっくり作品を観ることの素晴らしさや、いろいろな方の意見と自分の感想とを比べることの楽しさなどに、多くの方が触れられていました。
2015/05/24(日) 22:48:08
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