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足利市立美術館

栃木県の足利市立美術館から、展覧会やイベントの情報などをお知らせします。

対話型鑑賞の会「作品の声を聴こう」が行われました

 8月27日(土)、「風景のかたち −前田真三と現代日本の風景写真」の関連プログラムとして、対話型鑑賞の会「作品の声を聴こう」(一般対象)が行われました。
 対話型鑑賞とは、作品や作者に関する知識や背景などからではなく、作品をじっくりと観て、そこから得た感想を自分のことばで話し合うことで作品の理解を深める鑑賞法です。
 今回は、前田真三の作品を3点、現代日本の作家の作品を3点ずつを対象に、5分ほどを鑑賞に、その後10分ほどを対話にあてての、合わせて90分ほどのプログラムになりました。鑑賞の中で聞かれた感想をいくつか紹介します。


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前田真三《蒼い流れ》1982年 長野県上高地 ©Shinzo Maeda

最初に鑑賞した作品、前田真三の《蒼い流れ》です。
「水だけれども一見水に見えない」「水が流れる方向がいくつかに異なって分かれていて複雑で、どちらが上流でどちらが下流か一瞬わからなくなる」「台風の気象予報図のよう」「人の眼球の中の水を表しているよう」など、作品がより抽象的な分、さまざまなイメージが沸き上がってきた作品でした。



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前田真三《踊る青葉》1987年 群馬県みなかみ町 ©Shinzo Maeda

2点目は、これも抽象的な、前田真三の《踊る青葉》です。ここでも、「全体がポアポアしている」「視点がどことなく定まらない」「ところどころで枝が残像のようになって見える」「緑色の光に包まれた洞窟の中にいるイメージ」「上から見下ろす視点と、真ん前に見える水平の視点が混ざり合っているようで不思議」など、光と影にまつわるさまざまなイメージが沸き上がってきました。実はこの作品、風に青葉が揺れる光景を長時間露光で撮影した作品で、揺れる枝や葉の残像がかすかに見える背景と重なって作品になっており、それが強い抽象性を生み出しています。



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前田真三《代掻き》1984年 愛知県設楽町 ©Shinzo Maeda

引き続き前田真三の作品として《代掻き》を鑑賞しました。ここでは「一番上に重なっている田のかたちが不思議」「白い部分が雪のように見えて、冬と初夏の季節が交じり合っているように錯覚した」「人影のシルエットが風景に完全に溶け込んでいて生身の人に感じない」などの感想がありました。



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石川直樹《Mt.Fuji》2008年 東京都写真美術館蔵 ©Naoki Ishikawa

鑑賞は現代の写真家に移って、石川直樹の「Mt.Fuji」から始まりました。ここでは、「鳥居と杭の角度が同じで何か意味を感じる」「真ん中の雲が境界になっっていて、その上の山々が中空に浮いているように見える」「全体の構図が、目の前の風景を美しくまとめようとしているのではなく、作者がもとから持つ精神の中の構図であるように感じる」などの意見が語られました。



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中里和人《惑星(Muroto,Kochi 2016)》2016年 作家蔵 ©Katsuhito Nakazato

現代の写真家の写真家の最後は。中里和人の「惑星」です。「ところどころで光を反射している岩と闇の暗さの差が激しい」「岩の一部は岩肌ではなく人の皮膚のようにも見える」「人の営みとは明らかに異なる時間の流れを感じる」「神々が温泉に浸かって歓談しているよう」など、暗闇に近い中で撮られたモチーフの不思議な質感に対する感想が寄せられました。

対話型鑑賞の会「作品の声を聴こう」は、次回9月18日(日)の14時より、小学生を対象にしたプログラムを予定しており、現在参加者を募集中です。ぜひお子さんと一緒にご参加ください。



  1. 2016/08/27(土) 18:47:01|
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