足利市立美術館

栃木県の足利市立美術館から、展覧会やイベントの情報などをお知らせします。

『花火の家の入口で』を紹介します

 『花火の家の入口で』(青土社、1995年)の表題作「花火の家の入口で」は、吉増剛造が1992年3月から1994年1月までの約2年間、遠く日本を離れ、サンパウロ大学の客員教授としてブラジルに滞在した経験をもとに書かれました。また、「薄いヴェールの丘に」や吉増の代表作の一つでもある長篇詩「石狩シーツ」などの詩は、ブラジルに渡る前年1991年に、北海道・石狩川の河口で行われた舞踏家・大野一雄による公演「石狩・みちゆき・大野一雄」が下地の一つとなっています。帰国後、吉増は石狩河口を訪れ、銅板を打ちながら詩作を行ない、新たな詩の言葉を模索していきました。

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『花火の家の入口で』の展示


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「石狩シーツ」原稿(北海道立文学館蔵)


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1994年、石狩川河口から夕張までを素行する旅の中で、夕張の廃坑入口で吉増剛造が偶然撮影した多重露光写真


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大野一雄による公演「石狩・みちゆき・大野一雄」の記録写真(かりん舎刊『石狩の鼻曲がり』より、上1点:中森敏雄撮影/下2点:中川潤撮影)


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奈良原一高《人間の土地 緑なき島-軍艦島》(東京都写真美術館蔵)



  1. 2017/11/15(水) 05:23:53|
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『螺旋歌』を紹介します

 『螺旋歌』(河出書房新社、1990年)では、「河の女神の声が静かにひびいて来た/(タラノメメシアガレ)から始まる「春の野の草摘み」、青森・津軽の川倉地蔵尊や恐山を題材にした「河の声から川倉へ」のほか、山陰の隠岐、奄美および宮古、さらにはブラジル・アマゾン河まで、常に水の音に耳を澄まし傍らにその気配を感じ、螺旋を描くように内外の地を旅し、そこで出会った光景、人々、土地に対する思いを記した詩が続いていきます。第6回詩歌文学館賞(1991年)受賞作です。

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『螺旋歌』の展示コーナー


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『螺旋歌』原稿および校正稿


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『螺旋歌』原稿


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『螺旋歌』が書かれた1980年代に内外の各地で撮られたカラー写真


  1. 2017/11/14(火) 07:21:46|
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『オシリス、石ノ神』を紹介します

 吉増剛造の1980年代を代表する詩集『オシリス、石ノ神』(思潮社、1984年)では、国文学・民俗学者の折口信夫が奈良の二上山を舞台に著した小説「死者の書」を下敷きにし、その道を辿りながら、吉増が実際にこの地を訪れた際に記した「オシリス、石ノ神」が表題作になっています。さらに、民俗学の大家・柳田國男への追想や、作曲家・柴田南雄、小説家・中上健次、彫刻家・若林奮との交流から生まれたもの、アメリカの砂漠から着想を得た詩などが続いていきます。第2回現代詩花椿賞(1984年)の受賞作です。

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『オシリス、石ノ神』タイトルパネルおよび展示


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『オシリス、石ノ神』原稿(手前は表題作「オシリス、石ノ神」)


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柳田國男 松山、宮古島からの田山花袋宛絵葉書および宮古島からの田山花袋宛書簡(田山花袋記念文学館蔵)


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中上健次原稿


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南方熊楠《土宜法龍熊楠書簡(熊楠マンダラ)複製》(南方熊楠顕彰館蔵)


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吉増剛造による折口信夫、柳田國男、中上健次に関する原稿




  1. 2017/11/13(月) 07:26:38|
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『熱風 a thousand steps』を紹介します

 吉増剛造は1977年から78年にかけて、中央公論社の月刊文芸誌『海』に、一千行の長編詩「揺籃、a thousandsteps」、「絵馬、a thousand steps and more」、「熱風、a thousand steps」の三篇を発表しました。そこに「年代記」、「冥府」の二篇を加えて刊行された詩集が『熱風 a thousand steps』(中央公論社、1979年)です。これらの詩では、本来はことばをつなぐために使われる「、」や「─」の多用が大きな特徴になっており、文章の行間でさえも詩になり得ることが示されました。また、ラジオによる気象情報の文章ををそのまま詩に取り入れるなど、外から聞こえる声が詩の一部になっていくという、吉増独特の表現が表れた詩でもあります。

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『熱風 a thousand steps』のタイトルパネル


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「絵馬、a thousand steps and more」原稿(個人蔵)


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『熱風 a thousand steps』書籍


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『熱風 a thousand steps』では、吉増剛造が1977年に初めて青森・恐山を訪れた際の様子が掲載された


  1. 2017/11/12(日) 15:14:55|
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『草書で書かれた、川』を紹介します

 『草書で書かれた、川』(思潮社、1977年)では、吉増剛造の故郷である多摩・武蔵野を題材にした長篇詩「老詩人」が巻頭におかれ、そこでは、川の流れのようにゆるやかにこの地の情景が綴られています。この詩集の一篇「八月の夕暮、一角獣よ」で描かれる幻の動物「一角獣」は、現在にいたるまで吉増の詩にたびたび登場する重要なモチーフの一つになりました。また、同じくこの地に生まれて生涯を過ごした彫刻家・若林奮との、1970年代以後30年におよぶ交流も、多摩・武蔵野が出会いの場となっています。

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吉増剛造が1964-81年に刊行した詩集、随筆集の数々 左上から『出発』(新芸術社 1964 年)、 『頭脳の塔』(青地社 1971 年)、 『王國』(河出書房新社 1973 年)、『朝の手紙』(小沢書店 1974 年)、 『『わが悪魔祓い』(青土社 1974 年)、『わたしは燃えたつ蜃気楼』(小沢書店 1976 年)、『太陽の川』(小沢書店 1978 年)、 『青空』(河出書房新社 1979 年)、 『静かな場所』(書肆山田 1981 年)


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『草書で書かれた、川』のタイトルパネルと書籍、代表的なフレーズの壁面レタリング


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「八月の夕暮れ、一角獣よ」原稿と『大病院脇に聳えたつ一本の巨樹への手紙』初出誌書き込み


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吉増剛造詩集『頭脳の塔』が内蔵された若林奮《LIVRE OBJECT》(足利市立美術館寄託)と《無題(I.W.葉ッパの箱)》(個人蔵)


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共同作業として『武蔵野美術』(武蔵野美術大学出版部)に発表された吉増剛造作品と若林奮作品(WAKABAYASHI STUDIO蔵)


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若林奮によるドローイング作品の数々(WAKABAYASHI STUDIO蔵)


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吉増剛造による1970年代撮影のモノクロ写真(手前は『太陽の川』への掲載写真)




  1. 2017/11/11(土) 14:51:51|
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